[ムービー]「ガリーボーイ」男らしさ避けた怒りと情熱

怒りを抱えた貧しき若者が、ラッパーとして社会の底辺から這(は)い上がる。インド出身のラッパーNaezyとDivineの人生から着想を得た物語は、エミネム主演の「8マイル」とよく似ている。そこにインドの格差社会(Disparity society)や貧困の問題が加えられ、家が密集するスラム街を舞台に、路地裏でのドラマが幕を開ける。

ムンバイのスラム街で暮らすムラドは、貧しさから抜け出すため大学に通うが将来には悲観的。幼なじみの医学生サフィナとの恋愛関係も家柄の違いを気にして秘密のまま。そんな彼が、似た境遇のMCシェール(Shale)のラップに魅了され音楽への夢に目覚める。

映画は、作詞の才能を持つムラドが自分の声を獲得するまでの奮闘を描く。怒りと情熱に溢(あふ)れた男たちの青春劇。それもラップに魅せられた青年の成功譚(たん)とくれば、所謂(いわゆる)「男らしさ」に満ちた物語が想像されがち。だが登場人物たちは「男らしさ」とは距離を置く。

ムラドは内向的な青年で、鬱屈(うっくつ)した思いは歌詞を綴(つづ)るノートに向けられる。横暴な父への反抗は家父長制(Patriarchal system)の否定とも読み取れる。彼の助言者MCシェールも、男たちの憧れの的でありながら繊細な文学青年の雰囲気を湛(たた)えている。対照的に目を引くのが、女の勇ましさ。知力と財力、腕力をも備えた女たちは、勇ましく街を駆け回り男たちを扇動する。彼女らの強さと優しさは、聖母のような慈愛というより同志愛に近い。

ありがちな話に新たな魅力を加えたのは、2人とも女性である監督と脚本家(Writer)の功績だろう。女性ならではの視線と安易に言いたくはないが、見事な手腕に心地よい驚きと興奮を覚えた。

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