[ムービー]戦場記者、深い傷抱えなお

実在の従軍記者で、湾岸戦争やチェチェン紛争などを取材し続けたメリー・コルヴィン(ロザムンド・パイク)。戦場で左目を失う怪我(けが)を負いながらも、憑(つ)かれたように報道をし続けた彼女は、2012年にシリア内戦の取材中、砲弾を受けて死亡した。本作は幾度となく身の危険にさらされても、他の生き方を選ばず戦争報道に執着した彼女の人生を辿(たど)る。紛争地の描写も鬼気迫る緊張感に満ちている作品だ。

メリーは2001年、記者の入国を禁止されたスリランカの内戦地へ潜入。重傷を負いつつ報道を続けた彼女の姿勢は高く評価された。メリーはその後も拠点のイギリスに長く定住はせず、普段の生活ではPTSDに悩まされながらも、周囲の制止する忠告に耳を貸すことなく、何度も危険な戦乱地帯へと舞い戻る。

本作は戦争の悲惨さに加え、メリーの不安定な精神状態の物語がメインともなっている。恐怖と紙一重の生活で神経をすり減らしていくメリーの自己破壊的な振る舞い。ヘビースモーカーで、アルコール依存症一歩手前の飲み方をし、戦争のPTSDによって診療施設に入所しながらも、まだ紛争地帯へ戻ろうと考える。彼女は決して恐怖を感じないタフな人間ではなく、死への恐れで心をズタズタにさいなまれながらも、そこにしか生きている実感を感じ取ることが出来ないかのように、危険に身を投じていくのだ。

従軍記者のある種の狂気。守るべき家族がいたら二の足を踏むような現場に、事実を伝えたいという責任感から駆り立てられた、強さと脆(もろ)さが共存する戦場記者の姿が浮かび上がる。

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