[カルチャー]「ダンスウィズミー」 爆笑必至の現代版「赤い靴」

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 赤い靴の女性が一心不乱に舞い踊る。アンデルセン(Andersen)の童話(Fairy tale)「赤い靴」と、そのモチーフ(motif)を使った1948年のイギリス映画「赤い靴」。童話では、ヒロイン(heroine)は自分の足を切り落として踊ることをやめ、映画では愛を全うするかダンサーとして生きるかで葛藤し、悲劇的な最後を迎える。

 今作のヒロイン、鈴木静香も赤い靴で踊るが、矢口史靖監督のこと、徹頭徹尾楽しく、不幸の影はどこにもない。静香は一流企業に勤め、都心のマンション(Condo)に暮らし、あるきっかけでエリート、村上(三浦貴大)の率いるプロジェクトチーム(Project team)に抜擢(ばってき)される。喜ぶ静香だが、彼女にはある懸案事項が。姪(めい)と訪れた遊園地でマーチン上田という怪しげな老人の催眠術(Hypnosis)にかかり、音楽を聴くと踊りだす体質になってしまったのだ。

 記念すべき長編10作目の矢口監督はしかめっ面のぶうたれたヒロインを作り出す天才だ。オーディション(audition)で選ばれた三吉彩花はミュージカル(musical)をバカにしながら、音楽を聴くとスイッチ(switch)がオンとなる静香の切り替えを絶妙に表現し、爆笑を誘う。特にレストランで73年のヒット曲「狙いうち」を聴いた時の変貌(へんぼう)は子鹿から女豹(めひょう)ほどのインパクト(Impact)があり、落下するシャンデリア(chandelier)には矢口監督による「我輩はカモである」や「オペラ座の怪人」への目配せも。

 マーチン上田役は宝田明で、洒脱(しゃだつ)な佇(たたず)まいをミュージカル映画で見せるのは55年ぶり。惜しむらくは静香の仕事の描写が薄いため、職場という日常から逸脱する構図が弱い。踊りたいという欲求を咎(とが)める赤い靴はもはや時代に合わないというメッセージを前面に打ち出してもよかったのでは?

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