[カルチャー]レバノンの貧困 「存在のない子供たち」

レバノン(Lebanon)の貧しい子供たち(Poor children)を描き、昨年のカンヌ国際映画祭(Cannes International Film Festival)で審査員賞を得た「存在のない子供たち」(Capernaum)が公開されている。ナディーン・ラバキー監督はキャストに職業俳優を使わず、実際に貧しい生活を強いられている子供や大人を起用して、レバノンの貧困の実態をえぐり出す。

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主人公の少年ゼインは推定12歳。出生届(Birth certificate)がないために年齢が分からない。映画は彼が両親を「自分を産んだ罪」で訴え、法廷に立つところから始まる。彼は、男を刺した罪で少年刑務所に収監中の身だ。一体なぜ男を刺したのか。そしてなぜ両親を訴えたのか……。

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キャスティング(casting)についてラバキー監督は言う。「私自身は社会の隅に追いやられたことがない。だから私に実態を教えてくれる人を探した。彼らは生きる力をどこから得るのか。キャストと話すことで、多くのものを学んだ」

ゼインを演じたゼイン・アルラフィーアが哀愁を含んだたたずまいを見せる。「彼には、路上生活で身につけた知恵を感じた。いろんなつらい経験をしていることが、セリフではなく、老成した彼の目を見るだけで伝わってきた」

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ゼインは図らずもヨナスという赤ん坊の面倒をみることになる。当時1歳だったトレジャーちゃん(役では男の子だが、実際は女の子)が驚異の演技力を見せる。「脚本を書いている時は『赤ん坊にこんな芝居を求めるなんて無理だろう』と思っていた(笑)。彼女と出会ったのは奇跡(miracle)。私にとってはまさにトレジャー(宝物Treasure)だった」

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ゼインの両親は、金のために、11歳の妹を中年男と結婚させるなど、非道の限りを尽くす。しかし、母親は法廷で貧しい生活環境を強調し、『私たちは悪くない』と主張する。

「虐待をやめない現実の親たちの話を聞くうち、観客も一度は彼らの視点に立つべきではないかと思った。私たちは、虐待する親のことを、よく知りしもしないで断罪しがちだ。でも、彼らも子供の頃に虐待を受けている場合が多い。親を責めるだけでは、負の連鎖は断ち切れない」

 

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