SNSに投稿されたアイドルの動画につく「かわいいかよ」というコメント。若者が恋人の言動に思わずつぶやく「かわいいかよ」。
「かわいくない」と否定しているのではありません。「かわい過ぎる」と肯定する若者言葉(Youth language)です。
「かよ」は本来「疑問、反語の意をぞんざいに強く表わす」(日本国語大辞典)言葉。大辞林も(1)やや強く疑問の意(2)反語の意――を表すとしています。「負けるもんかよ」が「負けない」気持ちを表すように、「かわいいかよ」も本来なら、「何がかわいいの?/かわいくないよ」の意味になるはずです。
会社員の女性(30)は好きなミュージシャン(Musician)に「かわいい、という平凡な言葉では表現できない強い感情や愛情を抱いた時」使うそうです。
なぜ若い世代に広まったのか。新語ウォッチャー(Watcher)もり・ひろしさんは二つの説を挙げます。まずはお笑いで登場する「そっちかよ」などのツッコミの影響です。「(予想した方ではないのか?という)疑問の強調であると同時に、切れの良いボケに対する称賛とも受け取れる」と分析。その称賛のニュアンス(Nuance)だけが残ったというものです。
次に、サブカルチャー(sub culture)のファンが独自のルールを好む雰囲気に着目します。「強調」という前提を守れば、肯定的に使ってもいいという共通理解があるのではと推察します。
同様に「肯定」に転化した例として、もりさんは「やばい」を挙げます。「危機や不具合で心が脅かされる」が、最近は「感動で心が脅かされる」という意味でも使われます。
当コラムで「やばい」を扱ったのは4年前。「とりあえず心が動いたら」使うとの高校生の声がありました。若者は心の動きを伝える表現を常に求めているのかもしれません。
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